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木藤俊一石油連盟会長 年頭所感  (2023年1月5日)

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  1. 1. 2022年の振り返り

     ロシアによるウクライナ侵略により、エネルギーを巡る情勢は大きく変化した。G7のロシア産原油に対する禁輸措置やプライスキャップ制度導入等の動きもあり、さらにはIEAの石油備蓄の協調放出を受け、日本は初めて国家備蓄原油の放出を行った。こうした動きのなかで、エネルギーの安定供給の重要性が改めて認識されたのではないか。
     原油価格(ドバイ原油)は、現在80ドル/バレル前後で推移しており、一時よりは落ち着いているが、昨年3月には120ドルを超える水準を記録した。政府は、価格高騰に対応した燃料油価格激変緩和対策事業を講じた。本事業に対して石油各社は補助金を全額卸売価格に反映させ、政府の政策に連携して取り組んできた。石油製品がいかに国民生活にとって不可欠なものであるかということを、あらためて認識いただいたのではないか。
     一方、カーボンニュートラルに向けた取り組みは加速している。政府はクリーンエネルギー戦略の中間整理を取りまとめるなか、昨年7月よりGX実行会議がスタートし、グリーントランスフォーメーションの実現に向けて、GX経済移行債等についての議論が進められている。石油各社もカーボンニュートラル燃料の技術開発をスタートさせる等、GXに向けた取り組みが大きく進展することとなった。

  2. 2. 2023年の重要課題

    (1)エネルギー政策における石油の位置づけと石油の安定供給確保

     グリーントランスフォーメーション実現に向けて進められる経済・社会構造改革においても、エネルギー政策における「S+3E」の同時達成は大原則である。石油は一次エネルギー供給の3割以上を占め、また平時・緊急時を問わず、エネルギー供給の「最後の砦」としての重要性には変わりなく、引き続き国民生活・経済に不可欠なエネルギー源である。
     今後、石油の国内需要は減少することが見込まれるが、石油業界としては、官民一体となって、セキュリティ対策等の強化に取り組むとともに、さらには石油産業の経営基盤の強化を図り、トランジション期においても、エネルギーの安定供給確保に努めていく所存である。

    (2)気候変動対策

     昨年12月、石油連盟は「石油業界のカーボンニュートラルに向けたビジョン(目指す姿)」を改定した。この改定により、事業活動に伴うCO2排出(「Scope1+2」)のみならず、供給する製品に伴うCO2排出(「Scope3」)の実質ゼロにもチャレンジすることを表明した。「Scope3」の実質ゼロは、極めて野心的でハードルの高いものである。ビジョンの実現に向けて、SAF、水素、アンモニア、合成燃料、CCS等の脱炭素技術の研究開発と社会実装に積極的に取り組む所存である。
     一方、政府はGX実行会議において、CO2排出削減と産業競争力の強化・経済成長を両立させるため、今後10年間で約150兆円超の官民投資を実現すること、そのために政府においてGX経済移行債を活用した大胆な投資支援を行う方針を示している。石油業界としてもGX経済移行債やグリーンイノベーション基金等の支援措置を活用しつつ、2050年ビジョンの実現に向けてチャレンジしていく。

    (3)税制

     石油には既に年間5兆円を超える巨額な税が課せられている。石油連盟は、既存の税の見直し無くして石油に対するこれ以上の税負担に反対している。引き続き全国石油商業組合連合会をはじめ関係業界の皆様と力を合わせてこの動きをしっかり進めていく。
     また、自動車用の電気や天然ガスには、ガソリン税や軽油引取税のような高額な税が課されておらず、公平性を欠いたものと言わざるを得ない。昨年末に決定した令和5年度税制改正大綱では、自動車関係諸税に対して、利用に応じた負担の適正化等に向けた制度の枠組みについて、3年後までに検討を進めるという方向性が示された。石油連盟としても、公平な課税の実現に向けて、引き続き働きかけをしていく。

  3. 3. 「サステイナブルなエネルギーを社会に」

     石油連盟は昨年5月に定款を変更し、業務対象範囲を石油に加えてカーボンニュートラル燃料にも拡大した。これは、石油業界が社会に果たす役割、そして決意を示したものである。
     エネルギーを取り巻く環境は、過去に類を見ないスピードで変化している。そうしたなかでも、石油業界がエネルギー供給者として将来の長きにわたって消費者の皆様に選ばれるよう、新年にあたり、その決意を新たにしているところである。

 

以上

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